ダイビングには「自然」「スポーツ」「旅行」「出会い」「冒険」のすべてが含まれています。魚たちを始めとする海の生き物との出会い、肉体を駆使するというスポーツの楽しみ、ダイビングスポットまでの旅の楽しみ、ツアーで初めて出会う人とのコミュニケーション、そして海中という未知の世界を覗くことの喜び…。ツアーでは、きっと驚くほどのキャリアを重ねたダイバーとも出会うことがあるでしょう。彼らがとりこになってしまうだけの魅力が、青い海の世界には確かに存在するのです。
重大な疾患を抱えていない限りは、ダイビングを楽しむに当たって特別、体力は必要ありません。体力がない、という方でもダイビングを重ねることで自然に必要な体力が備わることでしょう。還暦を過ぎてからダイビングを始める方もいるほどです。体力よりも、むしろ必要になるのは「冷静な判断力」です。自身の安全を守るためには、適切な動作を冷静に行えるかどうかこそが重要なのです。
もちろん泳げるに越したことはありませんが、ダイビングに必要なのは「器材を上手に使いこなすこと」です。水に対して冷静に対峙できるという意味では、水泳の得意な方の方が“最初は”有利かもしれません。しかし数を重ねていけば、それは誰でも身についていきます。またダイビングで水への恐怖心を払拭したため、水泳に興味を持つ方もいます。ダイビングに必要なのは泳げることではなく、水に馴染もうという気持ち・心構えなのです。
海中で活動する、という意味で常にリスクを抱えていることは事実です。ときにはアクシデントにより大きなダメージを負うこともあります。しかしながら、それらアクシデントの理由の99.999…%はダイバー自身による無謀行為のため、そして無謀行為はダイビングに対する知識不足が原因であることがほとんどです。充分な知識を活用できれば、危険を回避することができるのは、どのスポーツでも同じことです。
水深何十mという高圧下で活動するため、ダイバーの身体には陸上の何倍もの圧力がかかっています。そのため現在では身体に対する負担のボーダーラインが、医学的見地から明確に定められています。むろん、個人の体調によってそのラインが上下することはありますが、インストラクターはダイバーをボーダーラインに近づかせるような真似はしません。安全基準さえ守ってダイビングを行えば、海中の世界はリラックス効果やリフレッシュ効果をもたらしてくれることでしょう。
CカードはCertification-Cardの略であり、安全に潜るための教育を受けたという証明書のようなものです。法的な裏付けのない任意のダイビング指導団体の発行する認定カードです。法的な裏付けがないとはいえ、世界各地でのタンクのレンタル許可やボート、施設の利用許可、そして潜水許可が、Cカードなしでおりることはありません。現実には、Cカードなしでレジャーダイビングはできないといえます(漁業、潜水工事、調査などでのダイビングは別です)。Cカード取得者はダイビング活動に参加できると同時に、一律に自己の安全管理の責任を負います。Cカード取得の際には、お店やインストラクターの質や方針、コース内容などをしっかりと確認しておくことが大切です。
ダイビングは競技ではありませんので、技術の高低は客観的に分かりづらいところがあります。一般的には20本前後のダイビングを経験することにより、一連の技術を身につけ、一定のレベルに達することができるといわれています。可能であればスクールを修了した時点から、あまり間を置かずにダイビング活動を行うことで、より早くそのレベルに達することができるでしょう。「上手いダイバー」の条件をあえて挙げるとするならば、「冷静」に海の世界を「楽しめる」ことでしょうか。
ダイビングにはさまざまな魅力があります。自然に触れる魅力、スポーツとしての魅力、旅行としての魅力、ダイバーたちとの出会いの魅力、海中の世界を冒険することの魅力…それらのどれに重点を置き、自分なりの楽しみ方を見つけることができるかが課題となるのではないでしょうか。自然を相手にするものですから、ときには思いもよらない事態に遭遇することもあるでしょう。そうした不慮の事態に対する覚悟や、それすらも楽しむ心の余裕があればベターではないでしょうか。